カントク直伝カート講座

今回は以前、全日本選手権を観戦に来たチーム員達がそのレース展開を見て、話題にしていた事を例に挙げてお話ししましょう。
 それはレースの駆け引きの話で、「今、自分がいる集団を抜け出して、前の集団に着いていくには、どうすればいいのか?」という内容でした。

 これが容易では無い事がこのレースを観ていた彼等には解ったのでしょう。自分たちのレース中でも考えない様な事を、ハイレベルなレースを観ながら感じ取ったのです。
これは素晴らしいことです!!
 さて、実際にこの問題について説明しましょう。
特に1周1キロクラスのロングコースでは、たとえ自分のラップタイムが速くてもスリップを使われてしまうと逃げ切ることはできません。
逆に考えると、ラップタイムでかなわなくても、スリップを利用すれば速いカートについていくことが出来るのです。

そんな中で、集団から抜け出して逃げ切る事は、容易ではありません
なぜなら、集団の中にいる時に「前のカートを抜いて逃げ切ろう!」と思って抜いても、
抜かれたカートは自分のスリップを利用し、また抜き返されてしまうからです。

この時、前方に集団がいるとすれば、自分達がこんなバトルをしてラップタイムを落としているうちに、その前方集団をどんどん逃がす形になってしまうのはお解りでしょう。

 ではどうすれば上手くいくのでしょう...。
それは、無理なバトルはせず、自分が留まりたい集団の中にいる事が大前提。
その中でラップタイムを落とさない綺麗なパッシングで順位を入れ替えていき、ここ一番の時にタイムトライアルの様なスパートをする。この時は絶対抜き返されない様に神経を研ぎ澄まして走らなければなりません。

 しかし、集団の中には必ず「おバカさん」が何人かいます。
彼等は目先の順位ばかりを考え、ガンガン!バトってきます。これにハマってしまわない事!
そんな「おバカさん」を上手く利用し、自分の後ろに集団をつくらせ、自分に有利な展開に持っていくのもでしょう。

 この全日本選手権レースでは、上手く駆け引きができない選手が多く、集団がバラけていた為、観戦していた彼等の目にとまったのでしょう 。

 この様なハイレベルな疑問を抱き、皆で議論し合うなど、彼等も捨てたものではありません。
議論していた彼等の今後の上達に期待しましょう。

カントク直伝カート講座TOPに戻る