カントク直伝カート講座

 今回は、よく皆さんから質問を受ける...
『10Tと11Tはどう違うんですか??』『10Tと11Tはどっちがいいんですか??』
という疑問についてお答えしましょう。
当然これはドライブスプロケットの話ですが、例えばもてぎのSSクラスの場合、標準的な減速比は「7.3前後」。これを219サイズのスプロケットの枚数で表すと....

 a「10T−73T」  又は  b「11T−80T」

ということになりますが、正確な減速比はaが「7.30」、bが「7.27」と、どちらも『約7.3』
微妙な違いは出ていますが、これが「10Tと11Tの違いは?」という質問の答えにはなりません。

 エンジンが1回転する間に発生するトルクを、何枚の歯で分割してチェーンに伝えるか、そしてチェーンを通じて何枚の歯で分割してリヤスプロケット(ドライブシャフト)がその力を受け取るか、という「駆動力伝達」の部分に注目してください。

この場合エンジンが約7.3回転してリヤスプロケット(リヤアクスル)が1回転する訳ですが、それに要したリヤスプロケットの歯数を考えてみましょう...。

つまり、エンジン7.3回転分のトルクがaは73回に分けて、bは80回に分けてリヤシャフトに伝わっているのです。

同じトルクを同じ減速比で伝達する場合、たくさんの歯数で伝えた方が、その歯数分だけ力が分割され、滑らかにトルクを伝えることができるという訳です。
早い話が、パワーの伝達効率が良い(ロスが少ない)という事...。
当然、1枚の歯が受ける力も少なくなる訳ですから、スプロケット&チェーンの消耗も減るでしょう。

簡単に例えれば、

6角形の鉛筆と4角形の鉛筆はどっちが良く転がりますか??
という事...。

 
反面、リヤスプロケットが大きくなるということは、外径も大きくなるということですから、縁石に当ててチェーンを外したり、スプロケを曲げたりする確率も高くなってしまうでしょう。
そこで生まれたのが215サイズ。ピッチを小さくすることで、同じ外径でも歯数を増やす事ができた上、チェーンのリンクもコンパクトになった為、軽量化→更なる伝達効率のアップにつながっています。

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