今回はタイヤのエア圧についてお話しましょう。
タイヤのコンパウンドが最大のグリップ性能を発揮するには、ある範囲内の温度で使用する事が条件となります。(その温度はそのタイヤによって違いますが...)
では、タイヤのグリップ性能とエア圧にはどのような関係があるのでしょう。
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例えば一定の力を与え、タイヤを押し付けながら路面と摩擦させるとします。
パンパンにエアを充填した状態と、パンク?というくらいしかエアの入っていない状態では、どちらがタイヤ表面のコンパウンドに運動エネルギーを伝えることが出来るでしょう?
ちょっと考えてみればお解かりの通り、エア圧が高い方がコンパウンドの発熱が早いのです。
エア圧が低いと、まずタイヤの構造が撓んでしまい、コンパウンドにエネルギーが伝わりにくいのです。
この事からも、「走り始めの初期グリップを重視するにはエア圧をやや高めにする」という定説が理解できると思います。
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しかし、一旦ベストな温度まで発熱したコンパウンドが何LAPも走り続ける間、その適正温度を保ち続けることが出来るワケがありません!!
エネルギーを吸収し続けるタイヤはどんどん発熱し、適正使用温度をはるかに超えてしまいます。そうすると高温になったコンパウンドは軟らかくなりすぎ、ヌルヌル滑り始めます。
この状態をよく「タイヤがタレた」と言います。
この事からも「レース終盤に照準を合わせたいからエア圧をやや低めにしよう」という話も理解できるはずです。
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ここで無視してはいけないのが「タイヤの撓み」
タイヤが発生するグリップ力は、コンパウンドの摩擦力だけで成されている訳ではありません。
与えられた荷重によってタイヤの構造が撓み、変形しながら走行しています。
この変形があるからこそ、路面からのショックを吸収したり、コンパウンドの持つ摩擦力+αの性能(グリップ力)を生み出しています。
当然、エア圧が高ければこの変形は少なくなり、低ければ変形は大きくなります。
(変形からくる発熱も考えられますが....)
このように、エア圧というのはタイヤの性能を引き出す上で、非常に重要な要素なのです。 |
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